いぬごや

よくはたらくいぬです

2020-01-01から1年間の記事一覧

こたつでご褒美アイスの夜

終わるなあ、とこたつにもぐってアイスを食べながら考えている。今年ほどあっという間に過ぎていった年もそうそうない。年始すぐに管理職になるや否やリモートワークが始まってしまって、みんなの在宅化の手配に奔走したり(こんな非常事態に『会社側』の人…

師走の夜、ショートケーキの昼

ベランダで育てているいちじくの苗が一気に落葉すると、いよいよ真冬の訪れを感じる。このところ概ね天気がよくて嬉しい。キリリと晴れた冬の空気や白い陽射しが、年末のそわそわに健康的に拍車をかけてゆくのが好きだ。 ケンタッキーのフライドチキンとショ…

オオカミの名残の夜

無地のセーターにスラックスとベージュのチェスターコート、靴下に革靴、たまに真鍮のアクセサリーとか、文字盤がシンプルな腕時計とか。今年の冬はそういうふうなスンとした格好を心がけている。撮影現場を駆けまわる前職時代はふと気を抜くとブルゾンやパ…

0時過ぎのバニラアイスの夜

計画っていうものはいつだって思い通りにいかないな。秋の終わりになんとも間の悪いタイミングで在宅勤務を完全終了させたヘイシャが、なんというか予想はしていたけれど、このたびまた急遽在宅再開のはこびとなった。私は新人研修中の中間管理職とかいうす…

秋と冬を煮詰める夜

鍋でものを煮る時間が好きだ。肉じゃがとか手羽元煮とか。カレーとかシチューとかロールキャベツとか。オレンジピールとか甘露煮とか。めんどうな下処理をすべて済ませた高揚感のまま、コンロの前に椅子を持ってきて、火と鍋の番をしながら本を読んだりする。…

しめくくりのハイボールの夜

昨夜は缶のバドとハイボールだけで千鳥足になるほど酔っ払ったので更新できず。隼天(はやて)というウイスキーのハイボールが缶だとは思えないほど香りゆたかで美味しくて、つい。でも今起きたら、あんまり覚えがないけれどスマホのメモに日記をちゃんと書…

なつかしい煙の夜

一応禁煙していたはずが、むしゃくしゃに負けてまた一本だけ吸ってしまったことをかたちだけ懺悔する日記です。 ものすごーくさかのぼると、法に許されるようになった頃から月に1.2箱くらいのゆるいスモーカーを続けていて、それがぱたりとやんだのが今年の…

折り返しのグラスビールの夜

最近料理のレパートリーがほとんど増えていないなと気づいた。秋に作ったえびときゅうりの塩レモン焼きそばとか、なすのからあげとか、そのへんが新顔のラストかもしれない。スープは毎日適当に色んなのを作ってるけど。最近よく作るトマトと挽き肉と卵の中…

サンドイッチ屋に通う朝

このところ、行きつけのサンドイッチ屋がある。 食パン2枚で作ったサンドイッチが、きれいな断面を見せた2切れになってラップに包まれているのを毎朝出勤の道すがらにひとつ買う。昼食はスープジャーとおにぎりを持っていくので、これは朝食用。サーモンとア…

スープジャーを洗い慣れた夜

毎日ちょっとだけでも書こう週間。とか言って明日から速攻途絶えたら察してください。 夏の終わりに買って以来愛用しているスープジャーに、夜中に作ったスープを詰めて持っていく習慣が定着してしばらく経った。今日はサバと大根と焦がし葱を煮た、あら汁み…

オオカミに守られる冬の朝

歳を聞かれるのが苦手だ。もっと素直に言うと、わりと、嫌だ。男所帯の撮影現場で年齢を言ったが最後、名前さえ覚えてもらえなくなって、徹底的に下に見られ続けた悔しさがいまだに燻っているから。うんざりするほど言われてきた「若いのにしっかりしてるね…

夏のはじまりを食べる夜

桃やメロンや洋梨のような、とろっとした食感の果物が病的なほどに好きだ。熟しすぎる一歩手前。あくまでみずみずしくハリを残しながら、濃厚な果汁が口いっぱいに広がるあの食べごたえに目がなくて、四季を食べるような心地さえ覚える。 近所の八百屋で少し…

初夏の豪雨とカレーの夜

3日くらいで全部散ってしまった芍薬ベッドでうとうとしていたら、はた、と湿り気を帯びたごくちいさな音が枕元で聞こえた。窓辺に飾った芍薬の花びらが落ちる音だった。柔い紙で作ったくしゅくしゅの飾り花や綿あめのような芍薬は、茎を斜めに切ってたった一…

レタスと初夏を噛む夜

デスクのオーディエンスの皆さん新人教育のために、家の仕事デスクの上のふせんや万年筆、イチゴのチョコレートなんかのこまごましたものをノートパソコンと一緒にリュックに詰めてオフィスに戻った。やっと一週間が終わった。単純に研修で忙しいからだけど…

夏の気配とラムをのむ夜

組み立て前に一度途方に暮れた図注文したデスクとイスを、説明書をにらみながら缶ビール片手に組み立てる。会社から持って帰ってきたモニターとノートパソコンを繋いでデュアルディスプレイの設定をし直す。ベッドの読書灯に使っていたクランプランプ(響き…

あたらしい春を知った夜

好きな季節はなにかと聞かれたら、昔は冬と即答していた。灯油ストーブのあまい匂いが好きだから。マフラーに口もとをうずめるのが好きだから。きりりと凍った空気に肺が澄むような心地が好きだから。それがいつしか生まれ季節の秋に変わって、今ではすっか…

ひとりとひとりに、ふたりで戻る夜

この年になってようやく、時間が有限であることを知った。きっと、一緒にいてもいい時間を使い果たしてしまったんだと思う。出会った日から決められていたそれがどうしてもどうしても足りなくて、なんとかしてもっと一緒にいたくて、何度もふたりで必死で引…

前夜

引き剥がしたり引きちぎったり、そういうくるしい痛みを伴うものだと思ってた。でも実際には違っていて、息を止めてじっと水に潜っているうちに、少しずつ身体から滲み出していったような心地がする。実際に潜っていたのは水ではなくこたつだけど。このとこ…

普通じゃないと知った夜

自分のことを、かなり「普通」だと思っていた。 サラリーマンと専業主婦の両親に育てられて、特にぐれたりすれたりもせずまっとうに大人になった。朝起きて夜に眠る会社員で、庶民的な街の庶民的な家賃のアパートに住んで、むずかしくない家庭料理をつくった…

こたつで脚を重ねる夜

意外とクリスマス頃から会っていなかったハチが、ひさびさにうちに来た。終電で来るというので駅まで迎えに行って、交代でお風呂に浸かってからこたつで夜食をたべた。缶ビールは半分こ。鮭の身をほぐしたのと、カリカリに焼いて刻んだ鮭の皮、それとたっぷ…

まあるい鳩を愛でる夜

明けましたね。今年もよろしくお願いします。 三が日はひたすら帰省中の地元を散歩してノスタルジーを噛み噛み。10歳くらいまで住んでいた団地を数年ぶりに歩いた。当時毎日遊んでいた小さな公園の遊具が撤去されてしまっていて、缶のお汁粉を舐めながらベン…