いぬごや

よくはたらくいぬです

春雷をのむ

暮れのファミレス ミイさんとサイゼリヤに来ている。ファミレスや喫茶店にガジェットや紙や筆記具、文庫本を持ち込み、長居するにあたっての礼儀として過不足ない程度の追加注文をしつつ、二人それぞれ作業をしながら過ごす日が結構ある。就業時間以外に断固…

舌でたどる記憶

去った街で焼き鳥を食べる 春まで勤めていた会社のごく近くにある、私が辞めてからできた焼き鳥屋が妙においしい。レバーがすばらしく新鮮で、つくね(串団子型ではなく五平餅型)のコリコリじゅわっとした食感がたまらなく、すべての串が絶妙な加減の塩で出…

サマーエール

ちゃんとしたサラダ 仕事でちょっとした物撮りをした。春に新しく買ったウッドデスクのおかげで撮影の難易度がちょっと下がったけど、我が家は圧倒的に壁が足りない。なにを撮るときもとにかく背景に困る。机とランプとさりげない植物だけ…みたいなミニマル…

南国果汁2%

アイスは夜道で食べるからおいしいのだ 歩きながら食べるアイスクリーム、およびそういう突発的に氷菓が手に入るイベントというのはいくつになっても嬉しい。夜のコンビニで買ったスイカバーを齧りながら帰るだとか、セブンティーンアイスの自販機を見つけて…

ドーナツ屋のたまごチャーハン

6/3 夜通し降り続いたとんでもない大雨が一日中つづくかと思いきや、昼に近づくにつれて急に晴れた。完全に暇を持てあましたので、寝ているミイさんを布団に転がしておき、珍しくひとりで外に出てみた。ちゃんとアクセサリーもつけてメイクもして、ヒールの…

レモンと甘酒

夏になると開襟シャツをよく着るので、金のとても細いネックレスチェーンを買った。鎖目が見えないほど細かくて、鎖骨の上でシャラッとなめらかに流れるのがいい。タンクトップのサマーニットの上にシャツを羽織って袖を捲り、ざっくりしたデニムにミント色…

冷たいかぶ、夏の入口

このところ、暑かったり肌寒かったり雨だったりの繰り返しでじわ〜っと体力が削られている。心地いい初夏をもうちょっと味わいたかった。春からいる新しい職場の仕事は興味深いものの大変なことも多く、ミイさんに持たせてもらったお弁当や水筒に詰めたルイ…

食べてばっかりの五日間

5/3 ゴールデンウィーク初日。昼前に起きて食事に悩む。前夜の夕飯で余らせたにんじんのかきあげを揚げ直すついでに、少しずつ残っていたしいたけ・いんげん・なすも天ぷらにしてごはんに乗せ、天丼を作って食べた。「今日は天ぷらを作るぞ」と意気込んで支…

投票行って外食したけど

きのう、パートナーのミイさんと区議会選挙の投票に行った。同じポストに届いた選挙の封筒をそれぞれ鞄に入れて、少しおしゃれして一緒に投票所の体育館へ行くのももう何回目かになる。ずっと思っていたこと。かつて人並みにモー娘が好きだったから、この時…

ローストポークへの思慕

最近、ローストポークという料理について、ふと「これは大好物といってもいいな」と心に落ちた瞬間があった。響きも佇まいも、気どらず素直なところがまずいい(そもそも「ポーク」とつくあらゆる料理名の、古き良き洋食っぽさが漂うところも好き。ポークチ…

二度目の春

パートナー、改めミイさんのこと 手塚治虫が描いた牝鹿みたいにすらりとした、八つ年上のパートナー。以前からずっと思っていたけど「パートナー」呼称がそろそろ本当にまどろっこしくなってきたので(彼女とか恋人って書くのも軽くて癪だし)、今後は名前か…

肉を焼く、時が止まる

冬の終わりに巣立った会社でずっと喜怒哀楽をともにしていた、管理チームの元部下たちを先日家に招いた。何十人もの部下を一緒に育てたり面倒見たりしていたから、男女二人ずつの計四人、同僚どころではなく親友みたいな心持ちでとても仲良くしている。その…

隣人とチキンカツ

3/28 近くに住む友人が午後から遊びに来て、仕事中のパートナーも交えて夜遅くまで一緒に過ごした。このところ親族のことで滅入っていたから気晴らしになって本当に助かる。貰いものらしいスモークサーモン・出張土産の塩バターおかき・ミスタードーナツとい…

花冷えの常夜鍋

3/24 家の2階に本棚エリアを新設してから、かなりくつろぎやすくなった。戸を外してある押入れの下段にりんご箱(C級品の木箱。カビや過度の傷みはないから室内で全然使える)を2段×3セットの計6箱積んで書架にし、クリップライトの明かりをつけて、もともと…

ルビーを食べる

春めいてきてから八百屋やスーパーに行くのが楽しい。小粒のとちおとめが1パック200円ちょっとで売られていたので、2パック買って苺ジャムを作った。お菓子やデザート系の甘い料理は普段ほとんどしないけど、果物のジャムを煮るのはなんだか浮き足立つ楽しい…

アジフライと沈黙

真冬の峠を越してどんどん春らしくなってきているのに、最近夜眠るとき、猫たちによる人間への密着度合いがすごい。杏は私とパートナーの間、甘露は私の左腕、薄荷は人間×2の身体の上もしくは間で寝ないと気が済まないらしく、さして広くないセミダブルのベ…

血より濃いもの

うちは賃貸の一戸建てで、ささやかな庭がある。春になるとカラスノエンドウやその他色々が咲きまくって可憐ながらもえらいことになるので、重い腰を上げて除草業者を依頼した。その見積もりのために庭を見せたりする対応を引き受けたら(パートナーは仕事中…

トマト味の日

今日も朝からずっと天気がいい。夜にパスタを食べると決めていたから日中の食事は軽くしようと思って、朝を昼と兼ねて一度にしっかり食べた。ピザトーストとミネストローネとバナナを入れたヨーグルト。パートナーが「ピザトーストは絶対2枚食べる」と意気込…

黄色い熱帯魚

3/6 さぼてんで買っておいたえびフライをトースターで温め、軽く塩で揉んだ千切りキャベツと一緒にパンに挟んだえびフライサンド(味つけはお好み焼きソース+ケチャップ+マヨネーズを混ぜたソース)と、かぶのポタージュを朝食に作る。昔、仕事やライブで…

洋食屋と手巻き寿司

3/4 早朝に起きて母親の通院付き添い。かなりの距離を移動するあいだ、ブログを一記事書いて文庫本(泳ぐのに安全でも適切でもありません/江國香織)を一冊読んだ。今日はいよいよ本当に春本番みたいな陽気で、マフラーは巻かなかったもののヒートテックも…

春の匂い

3/2 早朝に目が覚めた。ゴミを出すついでに少しだけ外を走る。ここ数日で輪郭に丸みを帯びだした風が、まだまだひんやり冷たいけど確実に冬から春のものに変わってきている。パートナーが重度の花粉症持ちなので春先は家の窓をほとんど開けられず、こうやっ…

白いひかりの中に

2/24 金曜。ひと足早く課内の送別会。ライターの部下たちが行きつけの中華屋に大勢揃ってくれて、おいしい黒酢酢豚や青椒肉絲や上海焼きそばをお腹いっぱい食べながら色んな話をした。在宅の子も多いから、久々に皆の顔を見られるだけで本当に嬉しい。約30人…

誇りのありか

約18年前、5年1組のムードメーカーSちゃんが転校することを知ったとき。生まれて初めて湧いた感情で胸がぐちゃぐちゃになって、ひとり小学校の階段で打ちひしがれながら「あ~、私ってSちゃんが好きなのか」と早々に理解した11歳の冬からずっと、平凡なレズ…

サンドイッチの行間を読む

2/17 退職に向けた引き継ぎの終わりがようやく見えてきた。社内周知もひととおり済んで、営業日でいうとあと6日ぽっちしかない。何年もかけて信頼関係を築いてきたディレクターやエンジニアが残りわずかな日々を惜しんでくれるたび、これでよかったのかなと…

旅支度

冬の終わりの輪郭が緩んだ空気は、プールの塩素にちょっと似た匂いがする。雪どけ水のしんと冷たい気配がなおさらそう思わせるのかもしれない。最近わりと仕事がバタバタしていて、春の片鱗が滲みだす今の時期のよさをあんまり満喫できていない。けっこう、…

ポップコーンと追憶

まもなく宴がはじまる懐に少し余裕があるときに、KALDIでしょうもないものを買うのが好きだ。ここでいうしょうもないものとは、珍しい調味料(普通に料理で役立ってしまう)や瓶のデザインだけで選んだワイン(だいたい普通においしい)ではなく、コンロの直…

休日の象徴

これから焼かれるさだめ土曜か日曜の朝、うちではけっこうな高確率でピザトーストを食べる。さして面倒ではないけど、せっかく休日の朝なのでいつもより手をかけましたよという感じが出て気分が上がるし、パートナーも喜ぶ。ちなみに平日の朝食は、私が在宅…

罪のバタースコッチシナモンパイ

取り返しのつかないひときれ存在はもちろん知りつつも、実はやったことがなかったゲーム『UNDERTALE』をプレイした。その気になればモンスターを一切倒さず平和にクリアできるし、逆に討伐のかぎりを尽くすと残酷なシナリオが見られる…というのは前情報で知…

並行世界のベランダ

1/3 年始休暇最終日。仕事始めの英気を養うために、パートナーとスーパー銭湯的な温浴施設に出かけた。露天風呂やサウナを順番に楽しんだけど、なかでも汗蒸幕(はんじゅんまく)という岩盤浴がなかなかおもしろい。高温に暖められたドーム状の小部屋で円形…

新年

元旦の朝に寝ぼけながら仕込んだ愛すべきなーんにもしない正月を過ごしている。おいしいおせちと餅や日本酒、ストーブとこたつのある古民家に、人間以上になーんにもしない猫までいるからもう完璧だ。大晦日の夜は年越し蕎麦と天ぷらを作って食べた。天ぷら…