いぬごや

よくはたらくいぬです

こたつで脚を重ねる夜

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意外とクリスマス頃から会っていなかったハチが、ひさびさにうちに来た。終電で来るというので駅まで迎えに行って、交代でお風呂に浸かってからこたつで夜食をたべた。缶ビールは半分こ。鮭の身をほぐしたのと、カリカリに焼いて刻んだ鮭の皮、それとたっぷりの青海苔を混ぜた鮭ポテトサラダ。かにかまを芯に巻いた卵焼き。できたての大学芋は、蜜にメープルシロップと大粒の塩を少し入れたから、塩キャラメル的なお菓子の味がしておいしかった。このところ週末にポテトサラダや大学芋やミニハンバーグを山ほど作るようにしているので、毎日のお弁当作りがものすごく楽だし、夜にちょっと酒のアテがほしい時にもつまめるので非常によい。

 

深夜2時過ぎまで特に中身のないことを喋ってから一緒にふとんに入って、1時間くらいしょうもない話をしているうちに、ハチはいつも電池が切れたように唐突にスンと眠りに落ちる。小さくて熱い身体におでこをくっつけて、あとをついていくように私も眠る。もともとハチはロングスリーパーだけど、うちのベッドだとことさら熟睡できるらしい。揃って昼過ぎまでぐっすり眠って、目が覚めてもしばらくそのまままどろみながら、互いの頬や首や手をぺたぺたと触りあって怠惰に過ごす。柔らかくてしっとりとつめたいハチの頬がとても好きだ。私の手のひらによく馴染むのが気持ち良くて、ひたひたと餅を揉むようにしていたら、んんんと少し唸って指を噛まれた。噛まれるままにほうっておいたら、指を食んだまままたうとうとしだした。さっきまで見ていた夢で、おいしそうなベイクドチーズケーキを買うために行列に並んでいたんだけど、私の前の人で売り切れちゃって悲しかったんだよね、と話して聞かせたら半分寝言のような声で適当に返事された。冬眠から目覚めたばかりのいきもののきょうだいのようだなといつも思う。結局、空腹に耐えかねてベッドから這い出たときにはとうに15時をまわっていた。

魚グリルで食パンを焼いて、ベーコンエッグを作って、ポテトサラダをひとさじ盛ってと何ごはんかわからない食事の準備をしていると、つい数十秒前までベッドを温めていたハチが眠たそうな顔のままよちよちとやってきて、背に抱きついて肩甲骨のあたりにおでこをすりつけながらなにか呻いていた。おなかに回されたハチの熱い手に箸とコップを握らせると、おとなしく食卓へと持っていった。私が起き抜けに食事を作っていると何も言わず甘えてくるコレを、そういえば夏にハチの出張先のマンスリーマンションに何泊かしたときも同じようにやっていたな、とふと思い出した。使い慣れないコンロの火加減が難しくて、薄いシャツ越しの背中に感じるハチの身体は、熱帯夜に茹だってとても熱かった。


キーマカレーが食べたいなと思っていたけれど、ハチを帰してからまあまあな量のおかずを作ってしまったので、来週でいいか。豚バラ大根と、さつまいもと豚バラの味噌バター炒めを作った。特に豚バラ大根が笑ってしまうほどうまい。あとは明日、とろとろに焼いたパプリカのマリネでも作り置いておけば、毎朝卵焼きを焼いてごはんを詰めるだけでお弁当になる。うまいお弁当を週4で会社に持っていくのが続いていて偉い。金曜だけは何か食べに出ていいルール。さっき観ていたテレビの影響でものすごくラーメンが食べたくなってしまったので、次の金曜はたぶん馴染みの博多ラーメン屋に行く。


ものすごく惰眠をむさぼってしまったので眠くならない…読みかけの本を読み切ってからふとんに入ろうかな。ハードカバーで買ったばかりの小川糸著『ライオンのおやつ』があと半分くらいで読み終わる。瀬戸内海の輪郭のやわい潮風と、ぎゅっと色の濃いレモンが恋しくなる話だ。お粥と豆花とカヌレが食べたくなる。