いぬごや

よくはたらくいぬです

サマーエール

ちゃんとしたサラダ

仕事でちょっとした物撮りをした。春に新しく買ったウッドデスクのおかげで撮影の難易度がちょっと下がったけど、我が家は圧倒的に壁が足りない。なにを撮るときもとにかく背景に困る。机とランプとさりげない植物だけ…みたいなミニマルで情報量の少ない部屋で暮らしたいとはつねづね思うものの、毎日の仕事を支えてくれる便利なワイドモニターやミイさんの昇降デスクは、たくさんの無骨な配線のおかげで息をしている。文句は言えない。

じき30代になったら、ロケ隊時代ぶりになるけど、カメラをちゃんと触ろう。いまどきのスマホカメラの性能はすごいし実際になんとか事足りてるけど、ものを書く仕事にはどうしても写真がつきまとう。記事も手がけるライターになって痛感した。コントロールの効く領域を広げてもっと楽しみたい。

夕飯は豚しゃぶ肉とレタスをさっと茹でて梅バターで和えたのと、かぶときゅうりのスモークサラダ。先日ミイさんの友達がお裾分けしてくれた燻製オリーブオイルが異様においしくて、オイルと塩と黒こしょうで野菜や豆を和えただけのシンプルなサラダが最近一番おいしい。塩で軽く揉んだ野菜の水分を一度しっかり切ってからオイルを回しかけて、黒こしょうをガリガリとたっぷり挽くと、水っぽくならずに必要最小限の塩味がつくし、こしょうの香りの粒感が際立って「ちゃんとしたサラダ」の味になる。

初蝉とアイスコーヒー

めちゃくちゃたくさん書いた。記事複数本のライティングともろもろの調整が重なって、頭のいろんなところをずっと同時に使ってるような日。スケジュールがすごいことになってきた。進行管理の仕事をしていたことがある(好きではないが適性があって得意)からさして苦ではないけど、経験なかったらしんどいだろうな〜。こういうときに社会人としての自分の成長と、業務の向き不向きみたいなことをひとごとみたいに妙に冷静に感じる。ライターが会社に自分ひとりしかおらず、入社後しばらく経ってのびのび動けるようになったこともあって、最近なんだかもはやフリーランスに近い。

今週は月火水が在宅勤務。暑くなってきたし本当に助かる。睡眠をしっかりとれて、化粧や汗や満員電車の苦痛なく体力フルゲージ状態ですぐ始業できて、多少遅くまで働いても次の日に響かない時間に夕飯を食べられるなんて、どう考えても仕事の効率が上がってしょうがない。合間でお風呂とか入れるし。前職は脳筋営業気質が根強かったこともあって、制作部署の在宅勤務への理解がなんだか情けなくなるほど薄いのがすごくストレスだった…ありがたいな〜と思いながら伸びてきた髪をてきとうにくくって、近所着のざっくりしたデニムを穿き、人目を気にせずせっせと働いている。

夕方にミイさんが淹れてくれたアイスコーヒーを、黄色いガラスストローをカラフェにさして直にごくごく飲んだ。濃くドリップしたコーヒーをたっぷりの氷で急冷する作り方のアイスコーヒーは、ただ冷蔵庫で冷やしただけのものと違って、喫茶店のようなきりっと香ばしい味がしてすごくおいしい。冷房をつけているのにあまりに暑くて氷がまたたくまに溶ける。今年初の蝉の鳴き声が少しのあいだ聴こえてきたけど、たぶん一匹だけで、気づいた頃にはもう止んでいた。夕飯は焼き餃子。酢こしょうをたっぷりつけて食べた。

再会とサワーエール

キッチン・商品開発チームとの定例会がある金曜は、試食が多くてなんだか楽しい。小腹が空いても社内にある食べもので食いつなげるのは普通に助かるし。転職してからの通勤経路にすっと自然に入れるコンビニがない(わざわざ横断歩道を一本渡ったり、分岐した道の先に行って戻ってきたりしないといけない)のもあって、ちょっとした食べものを買う無駄遣いがかなり減った。グミとかを久しく食べていない。

三連休明けの自分のために細かい仕事を片づけ、親友ともいえる前職の元同僚とクラフトビールを飲みに行った。ビールだけじゃなく、少し変わったジンやリキュールの品揃えも豊富ないい店。空芯菜を炒めたのと、驚くほどしっとり柔らかい塩麹のジャークチキン、クラフトビールに合うように作られたらしいピクルスなんかを摘まみながら、夏らしい味のするビールを色々飲んでとりとめもなく話した。テクスチャのとても細かいシュワッとした酸味を感じる、サワーエールというのがとてもおいしい。

柑橘みたいな酸味のエール

この元同僚とは、前職にいた数年間のあいだで数えきれないほど一緒にお酒を飲んだ。隅田川にほど近い真夏の老舗クラフトビアバーで、燻製のローストポークがおいしい地下の洞穴みたいなクラフトビアバーで、小さい店構えだけどタップが多くてフィッシュアンドチップスがおいしい穴場のクラフトビアバーで…色んな店に行ったけど、思い返すと本当にビールばっかり飲んでいた気がする。

どの夜も、飲んだり食べたりしながらとことん語り尽くした。好きなものの話や日々の愚痴、各々のパートナーのこと以外にも、信条や美学や人生について、他の人にはこっ恥ずかしくて(あるいは望ましくない温度差を感じて)言語化をはばかられるようなことのすべてを話した。会話の密度という側面では、間違いなくミイさんやハチを上まわるはず。

沖縄のリキュールと黒糖をミルクで割ったカクテルを締めに飲んで、ぬるい夜風を楽しみながら帰路についた。三連休はなにも予定がない。この日はそもそも月末に元同僚たちと行くバーベキューについての打ち合わせのために会ったから、気持ちが真夏にぷかぷか浮いて飛んでいくみたいな夜だった。

よく寝たね

休日の朝はピザトーストやホットドッグのような、少し手のかかる浮かれたパンを食べたくなる。コッペパンと長いシャウエッセンを買っていたので、シンプルなホットドッグを朝食にたくさん作った。粒マスタードを効かせてキリッと目の覚める味に。

午後、新しい洗濯機が家にやってくる。同棲前からミイさんが10年ほど使っていたドラム式洗濯機がいよいよおしまいな感じになってきたので、満を持してお迎えした。10年のあいだにおそらく飛躍的に機能が向上したのか、すばらしく静かだし乾燥にかかる時間もどえらく短い。業者のセッティングが終わったあと、わざと溜めておいた洗濯物をいそいそと入れて、洗濯機がまわるのをミイさんとふたりで眺めながら「おお…(期待)」「おお…(感嘆)」とにこにこする平和な時間。

そんなことをしているうちに眠たくなってしまって、夕方の変な時間にかなり長く昼寝をしてしまった。20時をとうに過ぎて目覚めたらお腹を空かせたミイさんがピーピー鳴いていたので、買い置きの袋麺を作って一緒に啜る。もやしのナムルと茹でたほうれんそうをたっぷり盛って海苔を乗せただけでも、ラ王の醤油ラーメンはおいしくてえらい。

洗濯機が働いてるのを見てインスタントラーメン食べただけの日だったな…と思いつつ、祝日のない6月とここ最近の激務を頑張って乗り越えたね〜と自分を甘やかしたい気分になって、1mmほどのとても華奢な金のバングルを注文した。白いざっくりしたシャツを着る日とかにつけようね。こういう日があってもいい。