桃やメロンや洋梨のような、とろっとした食感の果物が病的なほどに好きだ。熟しすぎる一歩手前。あくまでみずみずしくハリを残しながら、濃厚な果汁が口いっぱいに広がるあの食べごたえに目がなくて、四季を食べるような心地さえ覚える。 近所の八百屋で少し…
3日くらいで全部散ってしまった芍薬ベッドでうとうとしていたら、はた、と湿り気を帯びたごくちいさな音が枕元で聞こえた。窓辺に飾った芍薬の花びらが落ちる音だった。柔い紙で作ったくしゅくしゅの飾り花や綿あめのような芍薬は、茎を斜めに切ってたった一…
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