いぬごや

よくはたらくいぬです

まあるい鳩を愛でる夜

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明けましたね。今年もよろしくお願いします。


三が日はひたすら帰省中の地元を散歩してノスタルジーを噛み噛み。10歳くらいまで住んでいた団地を数年ぶりに歩いた。当時毎日遊んでいた小さな公園の遊具が撤去されてしまっていて、缶のお汁粉を舐めながらベンチでぼんやり日が暮れるのを眺める。よく晴れた正月だったので夕陽がきれいでね。まだ明るいブルーがさくら色に滲んでとろみのある濃い杏色になっていくグラデーションを、全部が藍色になるまでポーッと見届けるのが好き。幼馴染と少しだけ一緒に歩いて、いかにも郊外らしいでかいニトリで卵焼き用のしかくいフライパンを買った。これでようやく、普通の丸いフライパンの隅で必死こいてたまごを巻かなくてもよくなる。お弁当には必ず甘い卵焼きを入れる派。


元旦らしい華やかな買い物はしていないけど、実家からうちに戻る日、家族で出かけた先で焼きものの鳩の置物をひとつ買った。秋ごろに見かけたときに手持ちがなくて諦めて、あれからたまに思い出しては残念がっていたから、もしやと思って寄ってみた売り場で再会できたときの嬉しさたるや。ぽってりまるい鳩胸に黒い釉薬がつやつやと光って、白の模様が砂糖がけのようでとても愛らしい。実用的でない、でもしっかりと琴線に触れたものを買うのってどうしてこうも楽しいのか。フィンランドの銀行のノベルティだったらしいシロクマの貯金箱も迎え入れた。500円玉でも貯めよう。動物モチーフのしょうもなくいとおしい雑貨が、きっと今年も我が家に少しずつ増えていく。買ったばかりのわれものをふところに抱えているとき特有の緊張感と高揚感を味わいながら、甘党の両親とシナモンロールを食べてコーヒーを飲んだ。

初売りの街で買ったのは、鳩とシロクマと、きなこ色とうぐいす色の湯吞みふたつ、セーターを2着。それと実家から持たされた色んな食材(コーヒー豆・さつまいも・甘鮭・干ししいたけ・餅など)を抱えて、約2時間の帰路を経て、ひとりで暮らす家に帰ってきた。身体にしっくり馴染むベッドで昼頃まで眠って、ささやかなベランダに洗濯物を干す。数日間ほったらかしにしてしまった植木や切り花に詫びながら世話をして、自分ひとりが飲むためだけに湯を沸かしてコーヒーを淹れて、こたつにもぐりこむ。やっぱりとても落ち着く。布巾や豆皿の一枚一枚、じゅうたんの柄、タオルの触り心地までのすべてを自分で選んだ家にいるとこんなにも精神がやわやわと溶けるのか。


あさってから仕事。去年は夜更けのふとんの中でのたうちまわって泣いて嫌がっていたような気もするけど、転職してからはまったく苦に思わなくなったので晴れやかなものだよ…

今日はこたつで散々怠惰に過ごしたので、明日はスーパーに買い物に行ってお弁当のおかずでも作り置きしようかね。年末年始の帰省に合わせて一旦冷蔵庫を空っぽにしたし。ミートボール、ポテトサラダ、大学芋、しいたけの旨煮、これくらい作っとけばあとは卵焼きとおにぎりと気分で野菜を突っ込めばいいや。3月のライオンの新刊で、ポテトサラダにコンデンスミルクを混ぜたものがそれはそれはコクがあってたまらなくうまいという描写があったからおそるおそる試してみたい気持ち。