いぬごや

よくはたらくいぬです

なつかしい煙の夜

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一応禁煙していたはずが、むしゃくしゃに負けてまた一本だけ吸ってしまったことをかたちだけ懺悔する日記です。

ものすごーくさかのぼると、法に許されるようになった頃から月に1.2箱くらいのゆるいスモーカーを続けていて、それがぱたりとやんだのが今年の春。在宅勤務の開始にともない吸う場所と理由がなくなったから、なんとなくやめたらなんとなく続いた。

前職時代でもう一生分吸ったつもりでいたのに、やっぱりごく稀にでも吸ってしまうと懐かしくて好きで、ぐずぐず縁を切れずにいる。毎晩残業中に同期と連れだって会社の裏口におりて、狭い夜空やすぐそばの神社の大きな木をぼんやり見上げて、夜風が夏っぽくなってきたなあとかもうすっかり冬の空気だねえとか話しながら煙を吐くのが数少ない娯楽だった。あの頃はチョコレートの缶を使ったシガーケースが手放せなくて、BICライターのフリントからパッと線香花火のように散る火花を見るのが大好きで。紅一点のロケ隊にいたから、重たい10mgのピースを吸っているだけで監督やカメラマンにてきめんに気に入られて、それをれっきとしたビジネスツールにしていたからというのもあるけど。

制作の女性ってなんでだかピース愛飲者が多い気がする。私のまわりの人がそうってだけか。在宅勤務が終わって会社に戻ってから「在宅のあいだに禁煙したんですよ〜」とか豪語していたものの、どうしてもやりきれないことがあったときに部下ちゃんに分けてもらった一本を味わいながら吸っていたら、まんまと馴染みの愛煙家たちに見つかった。でも、コックピットみたいな狭い喫煙所の中で、仲良しのコーダーやディレクターのお姉さんたちとピースを吸う数分間をとても特別で愛おしいなとは思う。だからこうしてたまに戻ってきてしまう。よくない。でもたまになら許して、と自分を甘やかす師走の日。ちょっといいチョコレートをもらったので、明日は吸いたくなったらこれを食べようね。