いぬごや

よくはたらくいぬです

まだ冬がいい夜

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年明け少し経った頃から急に襲ってきた未曾有の繁忙期が、たぶんもうちょっとで落ち着く。基本的に仕事も会社の人間も大好きだから、毎晩終電まで会社にいても楽しく元気にやっているけど、休日出勤や持ち帰り仕事がかさんでさすがに疲れてきた。昼夜問わず眠い。なんか憑いた?ってくらいめちゃめちゃ書ける時間帯(ゾーンと呼んでいる)と、ろくにアウトプットできないぬけがらの時間帯が交互にくる。満腹中枢が若干バグっていて、食べられるときとそうでないときの振り幅がひどい。頭は疲れているのに身体を動かしてないからお腹が重たくて、きのうと今日は仕事の合間を縫って長いこと散歩をした。

春が近いなと思う。今日はもうずいぶんと暖かくて、セーターにコートを着ていたら暑いくらいだった。歩くときに空を切る手元で、風とかの輪郭が急にふっとぬるくやわらいだように感じた途端、公園でサンドイッチやドーナツを食べたくなった。マスクをふちどるように顔が鋭い冷気に晒される冬が大好きだけど、春もわりと好きだ。

白と青の2色に塗られて消しゴムみたいに並ぶ団地とか、そのベランダに干されたたくさんの洗濯物とか。そういうのに茜が射すのをぼんやり眺めながら歩いていると、寂しいのとは違うけれど色んな感情がぐーっと込み上げてきてたまらない気持ちになる。この先のこととか、いつまでここに暮らしていられるんだろうとかそういうの。このところ幼馴染や前職の相棒が次々と結婚していって、その子そのものみたいに馴染んでいた苗字が旧姓としてカッコの中にしまわれているLINEの名前表記を見たときに、なんだか言語化できない感情が渦巻くあれと似ている。春が一番好きだと言えない理由。

川辺を歩くとき、いつも鴨を眺めて数を数える。20を超えたくらいでいつも飽きてやめる。22羽まで数えて、うちに帰ってきちんと仕事をやって、サバとトマトのスープとか茄子の揚げ浸しとかを食べてビールを飲んだ。まだもうちょっと冬でいいのになとか思いながらこたつで時間を溶かしている。いつしまおう。在宅勤務開始にあわせてこたつを片付けた春から、もうすぐ一年が経つ。