いぬごや

よくはたらくいぬです

さむいさむい巣で過ごす夜

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越しましたの。

 

平日はまだ定期が残ってるから実家に帰って、週末になるたび巣に戻って家電の設置に立ち会ったり、調味料とか日用品とかをせっせと買い込んだり、な日々。この連休にやっと冷蔵庫と電子レンジとテレビが揃った。新居で初めて淹れた熱いコーヒーを飲みながら金曜ロードショーを観たときの感慨深さたるや。

 

暇な時はロフトによじ登って、毛布にくるまれながら本を読みふけってる。ロフトは少し暖かいんだけど、我が家、とにかく寒い。家財道具が少ない家って寒いんだなってことをひしひしと痛感してる。おそらくロフトがあって天井が高いことも寒さの一因。これからラグやホットカーペットやフワフワの靴下なんかが少しずつ増えていって暖かい冬を過ごせるようになっていくんだろうけど、多分この家のことは冬のつめたい寒さと一緒に記憶するんだろうな。

 

荷物が届くのを待ちながらフローリングに寝転がって間取り図に色々書き込んで、床が硬くて痛いねって友達と笑った入居日の夜。ガスが通って初めてシャワーを浴びた時の、かじかんだ指先が熱い湯にじんじん痺れる感覚。カーテン代わりに窓に貼った段ボールの隙間から、十字型に漏れて夜の部屋に射し込んでくる、ベランダのそばの街灯の白い灯り。まだベッドフレームが届いてなくて、床に直置きしたマットレスで眠るとどうしても視界に入ってしまうWi-Fiルーターの黄緑色の光。床にランチョンマットを敷いて食べたドトールミラノサンド。剥いたはいいけどまだお皿がなくて、マグに盛って食べた洋梨。届いたばかりの赤い冷蔵庫に、マヨネーズやケチャップや味噌を詰めていく時の充足感。まだ慣れないスーパーの中で牛乳を探して迷子になる心許なさ。歩いて行ける映画館でレイトショーを観たあとの帰路でふと見上げた満月が驚くほどまぶしくて、雲が流れるのが早くて、上ばかり見ながら帰った夜。家のそばを歩くとよく見かける、ザクロや蜜柑や南天の実。やっと覚えた駅からの道。ぱらぱら散る松の葉が陽にあたってこまかく光るのを見て、目をすがめながら歩いた朝の坂道。

 

そんなような色々をきっと数年後とかにふと思い出すんだろうな、と思いながら毎日過ごしてる。

 

次の週末はテレビ台とベッドフレームとテーブルが届く。ようやく家っぽくなってくる嬉しさと、組み立ての不安と。床でごはん食べてた日々を懐かしむ日も近い。