いぬごや

よくはたらくいぬです

春の匂い

3/2

早朝に目が覚めた。ゴミを出すついでに少しだけ外を走る。ここ数日で輪郭に丸みを帯びだした風が、まだまだひんやり冷たいけど確実に冬から春のものに変わってきている。パートナーが重度の花粉症持ちなので春先は家の窓をほとんど開けられず、こうやってひとり外で深呼吸する時間が欠かせない。

昨日は自分抜きで会社が回っている(退職時の有給消化中)ことへの違和感、そしてなんともいえない後ろめたさで心から安らげなかったので、今日は家事に没頭して過ごした。最近風が強いせいで荒れ狂っていたベランダを掃き、変な方向に伸び放題になっていたブルーベリーの枝を選定し、金柑といちじくとハイビスカスの鉢の雑草をむしって、以前パートナーがバジルとかを育てていたプランターの古い土を捨てる。ちょっと天気雨がぱらつきだして、湿気た空気と土の匂いが気持ちいい。

遅い朝食におかずクレープ(ツナマヨ・ウインナー・トマト・塩もみきゅうり)を焼き、昼食にはサバ缶とトマトのオイルパスタをつくり、パートナーの仕事場で一緒に食べた。クレープはイーストなしのクランペットのような、薄力粉と塩と砂糖と牛乳を混ぜて油で焼いた簡単なもの。パンケーキより甘くなく、クレープよりごはん寄りで最近気に入っている。薄く焼いたモチモチの生地に焼いたウインナーと野菜を巻いて食べるとすごくおいしい。

夕方。嵐みたいな暴風が吹くなか、頑張ってスーパーとKALDIと花屋をはしごして、野菜やコーヒーフィルターや花の苗を買ってきた。急に空が薄暗く曇りだしたうえに、スーパーの卵売り場が鳥インフルエンザの影響で恐ろしいほどすかすかになっていて、ちょっと世界の終わりっぽいなみたいなことを思う。

夜は明太子と海苔をまぶした釜玉うどんと、いんげんのごま和え。春の青野菜が年々好きになる。茹でて醤油と砂糖とすりごまで和えただけなのにこんなにおいしくて、いんげんはえらい。

3/3

きゅうりとレタスとハムのサンドイッチ、かぶのポタージュを朝昼用にたくさん作る。バターで炒めて柔らかくなるまで煮たたまねぎとかぶをブレンダーで攪拌して、牛乳でのばして少しのコンソメと塩で整えただけのポタージュが驚くほどおいしい。

パートナーと猫たちと一緒にかなり長時間昼寝してしまって、起きたら夕方になっていた。平日の日中はいつも家を空けていた私が休みに入り、猫たちが「こいつ毎日いるな」と気づいたのか、ここ数日起きてても寝てても終始べったりくっついてくる。

夜はお茶とお菓子(退職の餞別にもらいまくった)をたくさん用意して、パートナーと医療費控除の書類づくり。去年はノロウイルスからコロナオミクロン株に罹り、歯医者にもこまめに通っていたので医療費が火を噴いてしまって幸か不幸か控除対象になった。吹いたら飛ぶくらいの金額しか戻ってこない気がするけど、可視化したことで今年は健康に生きるぞ…としょんぼり決意。

夜、パリッと甘い春キャベツをたくさん食べたくて、豚バラとキムチと一緒にさっと塩味で炒めた。椎茸と貝柱のだしが入った「ろく助の塩」を使うと、炒めものも焼き野菜もスープもしみじみとおいしくなる。調味料にお金をかけるとかなり簡単に生活が潤うし、シンプルな料理で満足できるようになってすごくいいな。