いぬごや

よくはたらくいぬです

最近の食事のこと

10月11日

徳島の田舎から届いた、讃岐うどんの打ちたて生麺をゆがいて釜玉うどんに。道の駅で買ったものらしい。大量の大根おろしと生卵を乗せて、刻み海苔をまぶし、すだちをたっぷり絞って食べた。丸亀製麺とか冷凍の讃岐うどんを日々よく食べているけど、それとは比べものにならないむちむちの食感に少し驚く。冷水で締めずに鍋から引き上げたから、麺の表面がまだ熱い湯気とお湯の膜をまとっているみたい。すだちは親戚の家の庭で採れたもので、ぎゅっと果汁の詰まった小粒みかんサイズ。幼少期からすだち尽くしの食卓で育ったので(漬物とかフライとか何にでも絞る)これがあるとすごく落ち着くな。

恋人が食欲なさそうだったのでうどんにしたけど、それだけだと寂しかったので、週末に大きな鍋で大量につくった豚汁の残りと、れんこんをじっくり塩焼きにしたのも添えた。れんこんは炒めるというより、油で表裏をこんがり焼きつけただけのやつがしみじみとうまい。それに塩をふって食べるのがうちの定番。

10月12日

昼くらいからどうしてもフライドチキンの口になってしまったので、ケンタッキーのテイクアウト。この夜はちょっとした来客予定があったので、食べているあいだに来てしまっても大丈夫なように、台所の配膳台に椅子を寄せてササッと食べた。いつもと違う場所でジャンクなものを手づかみで食べるのって、悪いことしてるみたいですごく楽しい。期間限定のにんにく醤油チキン、ふつうのフライドチキン、カーネルクリスピーチキン、フライドポテトを恋人と分けあって食べながら、いつもどおりお互いの「今日あったこと」を報告しあう。

以前お世話になっていた古巣に顔を出していた恋人が、お昼をご馳走になったらしく、手作りのポテトサラダを少しお裾分けしてもらったのでそれも食べた。お酢が効いた爽やかな口あたりに、刻んだリンゴときゅうり、ディルの葉が合わさってすごくおいしい。うちで作るこってり系のポテトサラダ(おろしにんにくやコンビーフを入れる)とは全然違う、みずみずしい前菜みたいな味。チキンに添えて食べたらぴったりだったので、今度真似して作ってみよう。

10月13日

急にすごく寒い日。けんちん汁と、大根おろしたっぷりの揚げだし豆腐…の予定だったけど、ふとどうしても食べたくなったので、れんこんとなすと海苔の天ぷらも揚げた。うちの食卓には平日でもよく天ぷらが出てくる。具材を切って衣にくぐらせてさっと揚げるだけなので、普通のおかずを作るより実はラク。揚げ鍋の前に立ちながら、揚げたてのれんこんを摘まんですだち塩をつけて齧るのがいい。火曜にも焼いたのを食べたばかりだけど、秋のれんこんは本当においしくてえらいな。なすもサクサクとろとろに揚がった。

けんちん汁は昨夜のポテトサラダと同じく、恋人が恩師からもらってきたお裾分け。ふたりだけで暮らしているけど、その食卓に「ふたりで一緒に食べて」という前提で近しい人からもらった食べ物が並ぶのは結構嬉しい。

10月14日

うちの庭で産まれてしまった仔猫を長年の友人に譲ることになったので、その話をするついでに、せっかくなので仕事帰りに食事へ。ケーキ屋で一緒に働いていた頃から、私と友人はお互いとてもよく食べる。挽肉たっぷりのボロネーゼ、アンチョビが乗ったウフマヨ(半熟ゆで卵にすばらしくおいしいマヨネーズソースがかかった料理)、鱈とさつまいもと舞茸のフリット、ブルーチーズオムレツ、サーモンのカルパッチョとかを次々頼んで、黒ビールやワインを飲みながらお腹いっぱい食べた。

癖の強いブルーチーズが大好物なんだけど、恋人が好まないので買うことも頼むことも自然となくなり、随分久しぶりに食べた気がする。トロトロの半熟卵に濃厚なブルーチーズが溶け込んで、薄切りの生マッシュルームがまぶされた熱々のオムレツは、食べ終わるのが悲しくなるくらいにおいしかった。

10月15日

ゆっくり寝た。朝昼兼用のパスタを作る。サバ缶・にんにく・プチトマトをオリーブオイルがふつふつするまで泳がせて、味つけは塩と黒胡椒だけ。ブイヤベースみたいなこくのある味に甘酸っぱいトマトがいいアクセントになって、手間のわりにとてもおいしいオイルパスタになった。一人暮らしの頃あんまり作っていなかったパスタの腕が近年どんどん上達していく。具を色々入れすぎないほうがいいらしい。

天気がよかったので、昼過ぎから恋人と散歩がてら喫茶店へ。この店は、バスケットにいっぱい入った揚げたてのポテトフライが食べられる。味つきのカリッとした衣を纏っていて、フライドポテトではなくポテトフライと呼びたくなる感じ。恋人が持ってきた紙仕事をしているあいだ、江國香織の『神様のボート』を読みながらポテトを齧ってレモネードを飲んで、日が暮れるまでぼんやり過ごした。

金木犀の名残りを帯びた、ひんやり清涼だけど冷たすぎない、秋口の今しか味わえない心地いい夜気のなか歩いて帰宅。夕飯はトンテキを作った。豚ロースを包丁でよく叩いて、甘辛いタレを絡めながら焼いたのを千切りキャベツと一緒に頬張る。安い豚肉なのに、うまく柔らかく焼けて嬉しい。トンテキ、なめこの味噌汁、きゅうりを叩いて海苔と醤油で和えておいたものを食べて少しビールを飲んだ。

10月16日

予定があって一日中慌ただしかったので、朝はハムエッグを乗せたトーストとにんじんのポタージュ、昼は甘い味噌の焼きおにぎり(ごま油を塗った塩むすびに味噌・みりん・砂糖を混ぜたものを塗ってトースターでこんがり焼く)と昆布茶でかんたんに済ませる。にんじんのポタージュはバターとにんにくをよく効かせたレシピで、マッシュルームがあれば一緒に入れるとなおおいしい。

日が暮れてから、少し歩いたところにある神社の秋祭りへ出かけた。たこ焼きやフランクフルト、広島焼きなんかを買って、境内に腰かけて恋人と半分ずつ頬張る。モナカに乗っかったフルーツの水飴はスモモを選んだ。りんご飴とベビーカステラ、白餡の大判焼きをお土産に買って帰る。暗い夜道のなか、右手に握りしめた真っ赤なりんご飴がときどき街灯に照らされるのが、なんだかたいまつの炎みたいに見えた。

10月17日

最近揚げものを食べることが多かったので、この日はシンプルな蒸し&茹で料理に。大きなキャベツをざくざく切ったのと、手で裂いた舞茸、じゃがいもをまるごと蒸して、茹で豚と一緒に色んなたれにつけて食べる。甘味噌だれ(味噌+砂糖+みりん+醤油)、すだち醤油だれ(すだち果汁+醤油+砂糖+ごま油)、にんにくマヨ(マヨネーズ+バター+おろしにんにく+乾燥パセリ)の三種のたれがすごくおいしくできた。みずみずしく甘い蒸しキャベツで茹で豚を包み、たれをちょっとつけて頬張る。味のバリエーションも楽しくて箸が止まらない。

じゃがいもが少し残ったので、翌日食べられるようにポテトサラダを仕込んだ。すだち醤油だれの残りでトマトの串切りを漬けたのも、試作なので少しだけ作り置き。

10月18日

リクエストを受けたので久々にカレーの日。具の種類は欲張らず3種類くらいが好きなので、今回は牛すね肉・マッシュルーム・たまねぎのビーフカレーにした。よくカレーの上に焼き野菜を乗せるけど(いんげんやカボチャやれんこんが定番)この夜は仕事から帰ってくるのが遅かったので割愛。

昨夜作っておいたポテトサラダは、潰したじゃがいもにマヨネーズ、バター少し、おろしにんにく、粒マスタードをさっと和えたシンプルだけど癖になる味。ここにカリカリのフライドオニオンチップをまぶすといくらでも食べられてしまう。トマトのすだち醤油和えは、トマトの果肉にすだちの果汁がしっかり染みて、なんだか生まれて初めて食べる新しい果物みたいだった。きりっと甘ずっぱくてすごくおいしい。夏によく作って食べた、湯剥きトマトの中をくりぬいて蜂蜜梅を詰めて、薄いおだしに漬けておいたものと近い味。今度もっとたくさん作ろう。