いぬごや

よくはたらくいぬです

花冷えの常夜鍋

3/24

家の2階に本棚エリアを新設してから、かなりくつろぎやすくなった。戸を外してある押入れの下段にりんご箱(C級品の木箱。カビや過度の傷みはないから室内で全然使える)を2段×3セットの計6箱積んで書架にし、クリップライトの明かりをつけて、もともとオープン収納スペースにしていた上段をすっきりさせてちょっとしたテーブルとしても使えるようにした。そこに沿うように一人掛けソファを置いてあるから、上段にコップや読みかけの本を置いてぼんやりできる。

土曜くらいから喉を傷めていて、朝昼にりんご、夜に冷麺(しらたきで作った偽物)しか食べないような日が少し続いたせいで、若干胃が小さくなったような気がする。減量しなければと思ってるし、そういう意味では不幸中の幸いなんだけど、台所番としては食欲の見込みと実態が乖離するとまあまあ困るし、シンプルに生活の覇気が下がる。

夕飯の時間が遅くなりそうだったから、おいしい惣菜でも少し買ってきて軽く済ませるか〜と思い、スーパーで「夕方作りたて」のシールが貼られたお寿司を買ってきてパートナーと摘まんだけど、たぶん10貫も食べてない。でもあなごと卵とうにがおいしかった。パックのお寿司もわりと好き。シャリがもうちょっと小さいと嬉しいんだけど。

3/25

新しい職場が週一在宅勤務ルールなので、これまで必要なときだけ間借りしていたパートナーの仕事場に、ちゃんとした私の定位置を設けることに。いよいよ決心してテーブルを買い足した。無垢材の天板にアイアンの細い脚が映えるいいものを選べたと思う。家具を買うときのドキドキ、定期的に味わいたい。

前夜、スーパーから帰ってきた瞬間に玄関で卵パックを落としてしまい、この価格高騰中のご時世に4個の生卵を割る大失態を犯したものの、朝からパートナーがそれを全部使ってマグカッププリンを作ってくれて事なきを得た。私はあまり甘い料理に長けていないから、ひとりではめちゃくちゃに凹んでクソデカオムレツを作るくらいしかできない。家族がいるってすごい。冷え固まってすぐに大きなスプーンですくって食べた。

田舎の祖父との別れが近いかもしれない、という報せが届いた。心構えはしてあったので親族誰しも落ち着いたものだけど、いかんせん四国で遠いのと、新しい会社への入社日がまさに目前に迫った身なので、あらゆる意味で気が気ではない。ひとまず喪服を出した。パールのネックレスとイヤリングは、一昨年の暮れに祖母が旅立ったときと同じようにパートナーのものを借りる。東京で暮らすレズビアンの自分が「田舎の葬式」という何重にもしんどい場に飛び込む、強いお守り。

夕飯にはほうれんそうと豚しゃぶ肉の常夜鍋を作って食べた。昆布だしに料理酒とおいしい塩、あと牡蠣醤油を少し垂らしただけの鍋つゆがしみじみとおいしい。つけだれは黒酢・牡蠣醤油・ごま油で少しこってり甘酸っぱいのがよく合う。パートナーの仕事が絶賛修羅場中でぼろ雑巾みたいになっているので、豚肉や酢や鉄分で栄養を叩き込んだ。締めはうどん。

ルビーを食べる

春めいてきてから八百屋やスーパーに行くのが楽しい。小粒のとちおとめが1パック200円ちょっとで売られていたので、2パック買って苺ジャムを作った。お菓子やデザート系の甘い料理は普段ほとんどしないけど、果物のジャムを煮るのはなんだか浮き足立つ楽しい作業だ。

すぐ食べ切るから砂糖は少なめ(これでも)

漫画『きのう何食べた?』の1巻に、シロさんが苺ジャムを煮るシーンがある。

この瞬間がキレイなんだ
煮つめていくと 一度抜けたいちごのエキスがもう一度いちごに戻ってきて
粒が透明な深いルビー色になってくる…

このモノローグにある、苺の実が「透明な深いルビー色」になる瞬間が見たくてジャムを作った。砂糖をまぶしておくことで水分が抜けた苺を、しばらくは見た目がそんなに大きくは変わらないまま、辛抱強く鍋で煮詰めていく。「ルビー色ってこれかな…まだ早いか…」とか悩みながらあくを掬っていくうちに、とある瞬間から誰が見ても「透明な深いルビー色」としか形容しようのない色味にさっと変わる。

果肉が潰れずごろっとしているのが好きだから、苺の粒をすべてそのまま残したジャムに仕上げた。こういうまるごと系のジャムは買うと高いから家で作るに限る。間でレモン果汁を入れないととろみがつかないかな…と悩んだけど、なんも問題なくれっきとしたジャムになって安心。何日かパンに塗ったり挟んだりして楽しんだ。パートナーがすごく気に入ってたので春のうちにまた作ろう。

一ヶ月間の長いお暇もそろそろ終わろうとしている。とくに旅行に行ったりすることもなく、予定どおり毎日たっぷり眠って平穏に家事に勤しんでいるうちに、冬用コートがすっかりいらなくなっていた。休みの間にやっと本棚を設けられて嬉しい(前の家で本棚を持ってなかったので、今までずっと扉を外した押入れにそのまま積み上げていた)。

児童書がけっこう多い

会社勤めの平日だとめんどくさくて作れないな〜という料理もたくさん作れて楽しかった。生のいわしを開いた香草焼きとか。でも今の季節はただでさえ野菜がおいしいから、なんだかんだシンプルな蒸し野菜+茹で豚(味噌マヨをつけて食べる)やごまあえ、春キャベツをたっぷり入れた焼きうどん、かぶをバターで炒めて撹拌して牛乳でのばしただけの真っ白いポタージュみたいなのが結局一番おいしい。

ここ数日じんわりした風邪を引いてしまっていたのがようやくマシになってきたので、今夜はハンバーグ。具合が悪いと覇気がぜんぜん出なくてハンバーグなんていうご機嫌メニューはとても作れず、毎日ビーフンとか謎パスタで適当に済ませてしまっていた。うちのハンバーグは牛と豚の合挽き、生卵は入れずにたまねぎは炒める。ソースはケチャップとお好み焼きソースとバターと砂糖を煮詰めたこってり甘め派。多めに作って焼いた素の状態で冷凍しておいて、今度大根おろしとぽん酢でも食べよう。

アジフライと沈黙

真冬の峠を越してどんどん春らしくなってきているのに、最近夜眠るとき、猫たちによる人間への密着度合いがすごい。杏は私とパートナーの間、甘露は私の左腕、薄荷は人間×2の身体の上もしくは間で寝ないと気が済まないらしく、さして広くないセミダブルのベッドで生きもの5匹が毎晩みっちり密集して夜を明かしている。換毛期手前のぬいぐるみみたいにフカフカした毛並みはすばらしくかわいいし、抱いて眠るととても暖かいけど、こうも身動きがとれないとさすがに身体が軋む。

休みも折り返しを迎え、家での過ごし方がなんとなく定まってきた。自由だと思うと暇を持て余してしょうがなかったので、朝昼晩の料理のほかも午前中は家事をして過ごして、そのあとはパートナーの仕事を手伝う。やっぱりなにかしら作業をしていたほうが心身が活性化していく感じがする。今日は洗いものをして洗濯機を回して、4月から働く会社が入口で靴を履き替えるルールなので、社内履き用に茶色い革のバブーシュを買った。くたっとした革目に黄色の刺繍がかわいい。室内スリッパだろうと、履きものを買うときは新しくすがすがしい気持ちになる。入社日の持ち物に、年金手帳とか源泉徴収票とか以外に「社内履き・マグカップ」と書かれていたのがちょっと愛らしくて和んだ。マグカップは会社で長く愛用しているサーモスの保温マグを持っていくつもり。

夜はアジフライを揚げた。そのほかにんじんのからあげ(砂糖醤油で下味をつけて片栗粉まぶして揚げる)と、昆布だしでゆっくり煮て冷やしておいた大根、いんげんのごま和え。子どもの頃、揚げ物に添えてある生の千切りキャベツがどうしても苦手だったんだけど、あれは多分味や温度が熱々のフライから乖離しすぎていて、その高低差が嫌だったんだな〜と最近腑に落ちた。熱々さくさくジューシーなもので口の中がせっかく賑やかな感じになったのに、しん…と冷たくて硬いもので水を差されるようなイメージ。今は蒸した千切りキャベツを少しだけ塩で揉んで、冷ましたのを添えるようにしている。春キャベツだとなおさら甘さが引き立っておいしい。

大根がしみしみでえらい

小粒の新じゃがたくさん、舞茸としめじ、あと冷凍庫にローズマリーがあるから、明日はハンバーグでも作ってその付けあわせにグリル野菜を色々添えようかな。どの家もそうだと思うけどこのところ卵が高くてかなりしんどい。転職後いったん年収が少し下がってしまうし、節約がんばろう…

血より濃いもの

うちは賃貸の一戸建てで、ささやかな庭がある。春になるとカラスノエンドウやその他色々が咲きまくって可憐ながらもえらいことになるので、重い腰を上げて除草業者を依頼した。その見積もりのために庭を見せたりする対応を引き受けたら(パートナーは仕事中)業者のそう年配でもない男性に私のことを「奥様は〜」と呼称されて、一瞬誰のことを言っているのかわからず変な間が空いてしまった。造園施工の職人からすると、一戸建て+平日昼間+推定アラサーくらいの女性=専業主婦と思うのはまあもちろん理解できるけど、依頼主なんだから名前で◯◯様って呼びなよ…とかなりモヤモヤした気持ち。世帯主だし、私があなたにお金を払って依頼してるんだけどね。表札だって連名だし、二階からパートナーの声とか聞こえてきたらどんな反応したんだろう。

そういうくさくさした時は、なるべく本を読むようにしている。きのう読んだ小説『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー/桜木紫乃』がなかなか好みだった。いわゆる「ひょんなことから奇妙な共同生活を送ることに」というような、期間限定の擬似家族シチュエーションに年々弱くなる。血が繋がっていなくても、繋がっている家族よりずっと濃い「家族」をやる関係性が好き。寒さや空腹をともにして(北国×貧困の組み合わせにもぐっときてしまう)灯油ストーブの暖や大鍋で作ったインスタントラーメンを分けあって、いつしか別れが訪れることもわかりきっているのに、今がずっと続くような錯覚を覚えてしまう。映画『ミッドナイトスワン』を彷彿とさせるような、アンダーグラウンドな夜の色もいい。小説は日々色々読むけど「これは好きだ」と断言できるものに巡りあえる確率はまあまあ低いので、好むものが見つかるとすごく嬉しい。

「未読のまま本を積む」ことが生理的に我慢ならず、うちには基本的に長期にわたる積み本が存在しない。人に読まれるためだけに生を受けた本という物質に対して、購入してほかの誰の手にも渡らない状況にしたうえで「読まない」という仕打ちをするのは、最大の存在否定というか…なんかそういうたまらない気持ちになってしまう。文字以上のものが詰まった本を、単なる紙の束に貶めるのは悲しいことだと思う。

物理的に積んでるのは許して

ひと月の春休みも後半に入ろうとしているので、残りはなるべく本を読みたいね。『雪と珊瑚と/梨木香歩』『水たまりで息をする/高瀬隼子』『おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子』『メロンと寸劇/向田邦子』あたりを最近読んだ。村上春樹作品を除くとうちには女性作家の本がかなり多く、その影響もあっていつも書いている文章もだいぶ女性的だと思うから、次は意識して男性作家の本を選んでみる。

トマト味の日

今日も朝からずっと天気がいい。夜にパスタを食べると決めていたから日中の食事は軽くしようと思って、朝を昼と兼ねて一度にしっかり食べた。ピザトーストとミネストローネとバナナを入れたヨーグルト。パートナーが「ピザトーストは絶対2枚食べる」と意気込んでいたけど、2枚も食べたらバナナとかまで食べきれないでしょうと思い、いつもよりパンを分厚く切って具沢山にしたのを1枚出したら「すぐ食べ終わっちゃうのが悲しいから2枚ほしかったのに…」と残念がっていた。そういうことだったのね。ウインナーがパンひとり2枚ずつの計4枚分に乗せるほどはなかったんだよ。

たしかに2枚食べたい味ではあった

いつもは薄切りのジャンクな食感を好むけど、分厚い食パンで作ったピザトーストはフカフカサクサクですごくおいしい。たまねぎやピーマンやマッシュルームなんかの山盛りの具をきちんと受け止めてくれるし、ケチャップ味のものを大きな口を開けて頬張ると、一瞬子どもに戻ったような楽しく満たされた気分になる。真っ赤なミネストローネは熱々で濃厚で、真夏みたいな味。

午後、自転車に乗って近所の公園へ出かけた。すっかり春らしくなった空気の匂いを嗅ぐ。大きな池沿いを気が済むまで走って、手漕ぎボートや鴨が泳ぐのをベンチで眺める。平日のこんな真っ昼間に池のほとりなんかで佇んでいると、社会から弾きだされた感覚がすごい。有休消化中はまだ在籍しているから社内メッセージアプリのアカウントが残っていて、日に何度か気になって覗いてしまう。愛する部下たちが私のいない環境で働いているのを、空の上からそっと見守っているような心地がする。四十九日ってこんな感じ?

梅が咲いてた

夜はいわしの香草パン粉焼きと、トマトとにんにくのパスタを作った。火が視認できず機械に任せきりの「静」の料理は不得手だったけど、最近ようやくオーブンを恐れず使えるようになったと思う。いわし(開いて塩水に少し漬けておく)とついでに余ってたマッシュルームを敷き詰めて、オイルやハーブを混ぜたパン粉で覆ったガラスの耐熱容器の底が、ふつふつジュウジュウと香ばしく鳴く。缶詰めのオイルサーディンで作ってもいいけど、脂の乗った生のいわしでこれを作ると本当においしい。オーブンでいわしを焼く時間とパスタの茹で時間がちょうど同じ7分間でちょっと嬉しくなった。トマトとにんにくと塩とオリーブオイルだけで作ったパスタは去年の夏からの定番で、きっと老いるまで一生作り続ける。

黄色い熱帯魚

3/6

さぼてんで買っておいたえびフライをトースターで温め、軽く塩で揉んだ千切りキャベツと一緒にパンに挟んだえびフライサンド(味つけはお好み焼きソース+ケチャップ+マヨネーズを混ぜたソース)と、かぶのポタージュを朝食に作る。昔、仕事やライブで名古屋に頻繁に通っていた頃、メイチカにあるコンパルという有名喫茶店のえびフライサンドが好きでよく頼んでいた。あれは薄い卵焼きが一緒に挟んであっておいしかったな。

おもむろに身体が海のものを欲しだしたので、いつも使わないほうの海鮮が充実したスーパーに行き、あさりといわしとたこを買った。あさりは春雨と一緒に中華風の炒めもの、いわしは香草パン粉焼きにして、たこはトマトと一緒にサラダにするか、みじん切りにしてラグーパスタを作りたい。食費を気にするといつも薄切り豚バラ・鶏むね・合挽き肉のローテーションになるけど、たまにこうやって魚介を入れたり、少し大きいブロック肉を買って煮たり焼いたりすると楽しい。仕事帰りの平日は定番料理くらいしか作れないから、精神がぬるま湯に浸かってる有給消化期間のうちにいろいろ作ろう。

夜、あまりものの塩辛を全部使ってしまおうと思って、合うのかな〜とか思いつつ適当に春キャベツと油揚げの焼きうどんに入れてみたら、想像をはるかに超える絶品ができた。調味料の味つけ一切なし、いかの塩辛(汁ごと)と具材をごま油でざっと炒めて、レンジで半解凍した冷凍うどんを入れてフライパンに蓋をしながら料理酒で少し蒸す。それだけで、麺が驚くくらいもっちりふくよかな味わいになって、油揚げにじゅんわり染み込んだいかの風味がたまらなくおいしい。

焼きうどんとは過去にささやかな確執がある。実家にいたときは、親が作るソースだか醤油だかわからない薄茶色のべちゃっとした味が苦手でかなり敬遠していたけど、大人になって台所に自ら立つようになり、塩や白だしベースであっさり仕上げてみたら途端に好物に昇格した。塩辛入りは盲点だったけど辿り着けて嬉しい。春キャベツがおいしい時期におすすめ。

3/7

うちの寝室の南向きの窓は、カーテンを省略してプリズムガラス風の目隠しフィルムを貼っている。休みに入ってから朝起きるのが少し遅くなったので、晴れた日は虹色にキラキラ光る陽光に加湿器の湯気がけぶって、なんか天国みたいな視界だなあとか思いながら目を覚ます。今日はすごく天気がいい。ベランダの植物に水をやるとき、背中が陽をまっすぐ浴びて暑いくらい。

卵、ツナマヨ、ハムレタスの小さいサンドイッチを朝食にたくさん作った。卵サンドは7分40秒茹でた緩めの卵を細かく潰して、マヨネーズ・塩・味の素・砂糖で調味してよく練ったトロトロのペーストを挟むのが好き。こってりおいしくてやみつきになる味。パートナーはツナマヨがサンドイッチの具で一番好きらしい。

小さいので一瞬で食べ終わってしまった

休みに入ってから、起きたら朝食を作ってカフェインレスのルイボスティーをたっぷり沸かし、ごはんのおぼんと大きな保温ポットを持って二階の仕事場に上がるのが私の日課になった。その頃にはパートナーがとっくに起きて始業している。去年の今頃、コロナに罹ってずっと在宅勤務をしていた時期もこんな感じだった。その日のパートナーの作業内容に合わせて、頭を使う日は歌詞のない音楽を流し、手作業が多い日は過去に観た好きなドラマを一話から流しておいたりする(最近は『大豆田とわ子と三人の元夫』)。あんまり頭が忙しくないらしい日は横でスプラトゥーンをすることも多い。先日エキスパンションパスを購入して春のシーズンを楽しんでいるけど、たいして強くはない。

写植作業を引き受けてひと仕事したあと、iPadとワイヤレスキーボードを持って二人で近所の喫茶店に来ている。私はカレーライス、パートナーはチーズカレードリアをお昼に食べた。大きな窓に近い席で、外壁が杏色のかわいらしい団地が西陽を浴びているのがよく見える。喫茶店や図書館でめいめいの作業に没頭する時間がけっこう好きだ。平日の日中ならではの眺めもおもしろい。揃いの黄色い帽子をかぶって集団下校するちいさな小学生たちが、窓の外を魚の群れみたいに大勢横切っていく。

そこで飲んだホットココアがすばらしくおいしかった。口にした瞬間、想像の数倍濃いカカオの風味が火がついたみたいに一気に口内に広がって、思わず「なにこれ!?」って言ってしまうほど。火傷しそうに熱いのに、とろっと濃厚で深い甘味が後をひいて止まらなくなる感じ。少しバターでも入れてるんだろうか。家で飲むミルクココアとはまったく違う飲みもの。ちゃんと火にかけて粉を練る純正ココアを久しく作っていないので、近いうち再現に励んでみたい。

洋食屋と手巻き寿司

3/4

早朝に起きて母親の通院付き添い。かなりの距離を移動するあいだ、ブログを一記事書いて文庫本(泳ぐのに安全でも適切でもありません/江國香織)を一冊読んだ。今日はいよいよ本当に春本番みたいな陽気で、マフラーは巻かなかったもののヒートテックも確実にいらなかった。暖かい金色の陽射しがとても眩しく、セーターとコートの下が徐々に汗ばんでいく。

病院の用事が済んだあと、母親と近くのいい感じの洋食屋でお昼を食べた。このあいだパートナーと同じような店に行ったばかりだけど、洋食屋というのはいつ行っても心が躍る。福神漬とらっきょうがついてきて銀色の器に注がれているタイプの由緒正しいカレーライス、あとフライドライスという洋風炒飯(ピラフと焼き飯の中間?)やポークロースカツ、タンシチューなんかと迷った結果、ハンバーグステーキを頼んだ。少し焦がしたような風味がおいしいデミグラスソースがたっぷりかかっていて、脇に添えられたポテトサラダはハニーマスタードがきいているのか、ヒリヒリした甘辛さのある特徴的な味。

親孝行したのちに頑張って遠い我が家へ帰りつき、ふるさと納税と医療費控除の書類を整えてから夕飯を作った。炊飯器に米と鶏肉と、臭みとりの葱と調味料をいれて炊くだけのカオマンガイ。うちはよく私の好みでアジア圏の料理が出てくる。生姜の香るごはんに鶏肉のだしがよく染みておいしい。ほんの少しの塩で軽く揉んでおいた刻みきゅうりと、ナンプラーをきかせた葱だれとスイートチリソースを添えてお腹いっぱい食べた。

3/5

パートナーの幼馴染が税理士をやっていて、春先になると確定申告の仕上げを手伝ってもらう会が催される(お礼は日本酒と手料理のもてなし)。今回は私も医療費控除・ふるさと納税控除の申請があったのでお世話になった。何度か食事をともにしているので私もすっかり打ち解けていて、大人三人で書類を整理したり休憩のコーヒーを飲んだりしていると、なんだかゼミの頃とかを思い出して懐かしい気持ちになる。

今年のふるさと納税はわりといいものを選べた。桃、ラフランス(大好物)、うに、ほたてなどの定番どころに加えて、スライスして焼いて食べるハムソーセージ、丼にできるよう一食ごとにパウチされている真鯛の漬け、食パンに塗る用の北海道餡バター、炭酸やお酒で割って飲めるジンジャーシロップ。お米や日用品を頼んだほうが家計の助けになるのはわかっているけど、こういう「好きだけどちょっと高くて嗜好品寄り」のものを色々楽しめるところがいい。来年分は牧場のバター詰め合わせとか頼みたいな。

▼この赤生姜ジンジャーシロップがとてもいい
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夜は確定申告ありがとう&お疲れさまを兼ねて、ちょっと豪華な手巻き寿司。あじ・ほたて・まぐろ・いかのお刺身、昼間に仕込んでおいたサーモンと大葉の漬け、ねぎとろに刻みたくあんを混ぜたとろたく、スティック型に切った卵焼き、冷凍してストックしてある椎茸の旨煮、きゅうりの細切り、かいわれ大根、大葉とかをたくさん用意した。あと日本酒のおつまみ用に、生牡蠣ぽん酢といかの塩辛。酢飯には煎りごまをたっぷり混ぜて、海苔は四等分の小さな正方形に切る。

お集まりの皆様

うちではお客を呼ぶと、しょっちゅう手巻き寿司を食べる。準備がかなり楽だし(卵焼き以外一切火を使わないのがありがたすぎる)お刺身を買っておくくらいなのに立派にもてなしてる感が出て、皆で話しながらめいめい好きに巻いて食べるのがなんとも楽しい。ごはんを省略して海苔カナッペみたいにすれば、各自好きなタイミングで酒の肴にシフトできるのも助かる。

とろたくをたっぷり巻いたのに甘い牡蠣だし醤油をつけたのが何よりおいしくて、何度も同じのを作って頬張った。あじ・大葉・かいわれのキリッとした組み合わせもなかなかいい。海苔が四等分だとひとつごとの大きさが抑えられるから、白米で満腹にならず色々食べられる。さっと湯がいた菜の花と薄く昆布塩をまぶしたまぐろ、とかも合いそうだから今度作ってみよう。

私もパートナーもそこまで社交的なほうではないけど、たまに来客があると家をきれいにせざるを得ず、結果的に暮らしがすっきりするので定期的に外からの刺激を入れている。曇っていたフローリングをしっとり光る飴色に磨いた。春らしいシンプルな枝ものを玄関に飾りたい。