いぬごや

よくはたらくいぬです

トマトとにんにくと塩と

プランターで育ててるバジルを乗せた

最近、よくトマトパスタを作る。

うちでパスタを作るときはだいたいペペロンチーノかナポリタンの二択で(そこに稀に明太子パスタとか納豆パスタが入ってくる)、たとえば春にはペペロンチーノに菜の花をたっぷり入れたり、ナポリタンを作るときは最初にケチャップだけをオイルでじっくり炒めたり、それなりに工夫して自分の好きな味を作っていたんだけど、どうもトマトパスタだけは「自分の味」と明言できるレシピを持っていなかった。まあトマト缶を煮詰めてこれとこれで味つけしたらこういう味になるよね、くらいの解像度と遠さ。

トマトとにんにくの味がおいしく濃厚に出さえすれば、味として求めてない脇役のたまねぎを炒めるのも面倒だし、別にコンソメとかバターとかケチャップも足したくないんだけどな〜と思って、あるとき作り方を大幅に変えた。

オリーブオイルを多めにフライパンに敷いて、そこにくし切りにしたトマトをひとりあたり丸2個分、あと好きな量の生にんにく(切らずに包丁の腹で少し潰しておく)を浸して、ちょっと多いかなと思うくらいの塩をふってから中火でぐらぐら煮ていく。トマトの果汁がどんどんオイルに滲み出てスープ状になるのを見守りながら、蓋をしたり外したり、トマトの裏表を返したり、フライパンごとタプタプ揺すって全体を混ぜたり。スープがとろみを帯びたら、茹でておいた麺をフライパンに入れて和えておしまい。

トマトとにんにく、あとオイルと塩の味だけなのにこれが驚くほどおいしい。突いたら弾けそうにジューシーな夏のトマトが、まったく青臭くも水っぽくもならずに濃縮されて麺に絡む。材料と工程の簡単さに見合わないおいしさに面食らって、この夏はずいぶんとこれを作った。

春には菜の花のペペロンチーノ、夏にはトマトパスタ、この先秋と冬にもひとつずつ季節のパスタが作れるようでいたい。秋はなんだろうね。やっぱり茸だろうか。